『ザ・場面写』 第18回 セモベンテ隊

 セモベンテ隊は、『機動戦士ガンダム MS IGLOO 一年戦争秘録』の第2話に登場した地球連邦軍の特殊部隊である。
 一年戦争開戦当初、モビルスーツを持たない地球連邦軍は、戦場において撃破、もしくは遺棄されたザクIIを回収し、その技術の解析を行っていた。データ収集に使用されたザクIIは、そのまま廃棄処分されるのではなく、補修され、ジオン軍のモビルスーツ部隊に対抗する唯一の戦力として再利用されることになる。そこで、鹵獲したザクIIを主力として運用する特殊部隊が多数組織された。隻眼と大きな裂傷が特徴的なフェデリコ・ツァリアーノ中佐が率いて北米地域で活躍したセモベンテ隊は、そんな特殊部隊のひとつであった。
 彼らは、ザクII3機と61式戦車1輌で1小隊を構成し、計2小隊で作戦行動を行っていた。当時、鹵獲されるザクIIは限られており、モビルスーツと同じ進軍速度で行動が可能な61式戦車を部隊に加えることで戦力を補強。彼らは、友軍を装ってジオン軍地上部隊に近づき、奇襲攻撃を仕掛ける戦法で、高い戦果を挙げていた。しかし、敵から奪った武器を使用し、不意打ちをかけるという戦い方は、戦果を挙げても記録には残らず、ましてやその功績を評価されることはない。彼は、戦場において影の存在とならざるをえない、“汚れ役”の運命を背負った部隊でもあったのだ。
 ツァリアーノによる的確な指示のもと、連携作戦をとるセモベンテ隊は、ジオン軍の物資集積所襲撃などで高い戦果を挙げていた。しかし、作戦行動中にモビルタンク・ヒルドルブと遭遇。激しい戦闘の末、相撃ちという形で、部隊は壊滅してしまう。
 しかし、歴史の影に埋もれた彼らのような特殊部隊の活躍によって、ジオン公国軍の地球制圧作戦は遅滞し、後の地球連邦軍による反攻作戦につながっていったと言えるだろう。

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