第50回静岡ホビーショー  第22回モデラーズクラブ合同作品展レポート

2011年5月14日〜15日にツインメッセ静岡で『第50回静岡ホビーショー 第22回モデラーズクラブ合同作品展』が開催されました。

昨年、1/1サウロペルタを展示していた「プラモデルを1/1でつくる会」の大橋氏らが、こんどは1/1ラコタ&リジーナを製作。1/1サウロペルタと一緒に展示した。今回のプロジェクトの製作総指揮の大橋氏をはじめ、早川氏(設計、渉外、庶務)、藤本氏(ステアリング、サイドミラー製作等担当)、星川氏(木工、メーターパネル製作)、小西氏(リジーナミサイル弾体部、ボルト製作)、小森氏(リジーナ本体製作・とりまとめ)に話を聞いてみた。

——以前に1/1サウロペルタを造られていますが、次に1/1ラコタをつくろうと思われたのはなぜですか。

大橋: 昨年のshs展示後、サンライズさん、ホビージャパンさんとの対談の中で、勢いで『次はラコタ』と話したのがきっかけだと思います。
サウロペルタでの経験をいかし設定資料に忠実な1/1ラコタに挑戦したいと意気込み、製作を開始しました。

早川:昨年の静岡ホビーショーで大勢の方から「次は何を造るの?」と尋ねられて、しゃれで「ラコタですね。」と答えたこと。一段落してからパジェロとデザインを重ね合わせたら意外と近く「あ、簡単にできるのでは?」と妄想。さらにリジーナ製作でサプライズを!と墓穴を掘ってしまい、また多くの方々を泥沼へ引きずりこんでしまいました。
関係者の皆さま本当にすみません。

——実際に造られて一番苦労したところはどこでしょうか。

大橋:苦労ではなく工夫したところなのですが、ガラス、ボンネット、あおり、リアゲートなどの可動部分、フック類の実用強度を持たせることです。
サウロペルタに比べ、いただいた資料が多かったので、妥協できない、すべてのパーツはこだわりの塊。

早川:当初想定していた妥協点を「CGデザイン通りに」という今西監督のオーダーに合わせるべく製作担当者と協議しながら段々とCGに近づけていく過程で、いろいろと葛藤がありました。(家庭でも葛藤が・・笑)
特にフロントガラスは可動構造とガラス枠の強度剛性の確保、部品手配、重量と様々な闘いの賜物です。
気に入っていただければ幸いです。

藤本:積極的に苦労したのは、ステアリングのホーンボタン。パテで造形したところに機能を殺さず整備性もそのままにホーンボタンを取り付ける構造を見出すのが大変でした。
思いもかなかったのはサイドミラー。Jeepのサイドミラーを五角形切断して、パテを盛って補強と成型をしたんですが、後から次々とミラーに亀裂が入り、割れてしまいました。おかげで、ミラーもどきを上から貼ってごまかすハメに(泣き)

星川:メーターパネルは、実車のものを機能させる必要があったので、設定(CG)から大幅に形を変えざるを得ませんでした。
設定の雰囲気を崩さないように、かつ、実車に寸法を合わせて、しかも時間が無いので迷うことも直すことも許されず、非常に厳しい工程になりました。

小西:リジーナミサイル弾体の先端のテーパー(3段)がもっとも困難でした。全製作時間の1/3を要しました。
先端の面取り(45°)。面を取りすぎて、パテ盛りを数回くり返しました。

小森:普通のアパート暮らしなので、リジーナという長尺物の製作環境(作業スペース確保、工具不足、電動工具の音や振動)に困りました。本業の関係で平日は作業時間がほとんど取れず、土日の集中作業で家族も大変だったと思います。自分のスキル不足も、様々な場面で痛感しました。

−−1/1サウロペルタとくらべていかがでしたか

大橋:ラコタは実在する軍用車に近いフォルムをしており、ベース車のパジェロとの愛称は抜群でした。
サウロペルタでの経験をいかし、よりCG設定に近いボディーを再現できました。

早川:とにかく大きく、そして重い(キャリアカーで車両を運んだ実感)
個人的には昨年の静岡ホビーショーで辛口の評価もあり、来場者の目は厳しくなると予想し、リジーナやラコタの小物類(ホイルカバー、ステアリング、ミラー、ランプ類…)各製作担当者もすごくがんばってくださったので、更なるこだわりを感じていただければ幸いです。

藤本:ステアリングホイールに関しては、昨年のサウロペルタでお客さんから「造形が下手だね」との言葉を頂いていましたが、今回は製作時間が十分にとれて結構満足できる仕上がりとすることができました。
これならリベンジ出来たかなと思っています。

星川:デザインはサウロペルタのほうが凝っていて好みです…。しかし、実車の出来はラコタのほうが、ずっと洗練さ
れていて、今回の方が良い仕事が出来ていると思います。リジーナもついているのでなおさらです。

小西:サウロペルタの時はボンネットのみでしたが、今回リジーナはミサイル弾体部全て担当し、サポートとしてホイールのボルト製作と、仕事量は大幅にアップしました。

小森:サウロペルタでは車両製作を手伝いましたが、今回は成り行きでリジーナ製作担当となり、ラコタにほとんど 関わる事が出来なかったのが残念でした。しかし、大橋さんはじめ藤本さんや星川さん、N氏には色々お手伝い頂き、とても助かったと同時にチームの力を感じる事が出来ました。普通でない人ばかりです。

——2台並べて展示されたご感想はいかがですか。

大橋:1年前、サウロペルタを完成させた時は、1年後にもう1台完成させられるとは夢にも思っていませんでした。
『やればできる』を実感した瞬間でした。
家族をはじめ多くの方々のおかげでここまでこれました。本当にありがとうございます。

早川:車両の横に立っていると1年間(サウロペルタを含めると2年?)が走馬灯のごとく…
製作中はどうしても身内だけの見方になるので現地の評判が心配だったのですが、多くの来場者の方からの声「すごい!」「かっちょいー」という声が背中に聞こえて疲労も吹っ飛ぶ位の励みになりました。

藤本:2台+リジーナを並べ手見るのはかなり壮観。
特に、締切ギリギリまでがんばったラコタ&リジーナは「ようやく出来たんだ」と感慨もひとしお!

星川:リジーナも仲良く並んでいて、敵同士な感じはしないですね。
極限のメカはどれも美しいです。元のデザインが優れていることを実感しました。

小西:サウロペルタとラコタと言うより、ラコタとリジーナが並んだことに感慨深いものを感じました。

小森:リジーナを、無事にラコタと並べて展示出来た事にほっとしています。もし当日朝までに間に合わなかったら、「探さないで下さい。」と書置き残して消える算段してました。(笑)  

U.C.HARD GRAPHの関係者の山根公利氏(ラコタデザイナー)、江上嘉隆氏(バンダイホビー事業部)、今西隆志氏(ディレクター)にも感想を聞いてみた。

——1/1ラコタをご覧になっていかがでしたか。

山根:元のデザインがリアルなので本物にしか見えませんでした。
自衛隊のジープと言っても信じてもらえるでしょう。
細部パーツにも連邦ブランドを感じさせてくれます。

江上:昨年、サウロペルタの持込(締め切り)までの修羅場をお聞きしていたので、今回も無事搬入された事が何よりうれしかったです。初見の感想は、とにかくデカイ!気持ちが落ち着いた所で、細部のディティール再現への情熱には脱帽でした。特にボンネットの止め具には感動しました。

今西:大きさはわかっていたつもりでしたが、想像以上に大型で重量感が有りました。

——サウロペルタと並んだ感想もお願いします。

山根:大きさの差が有り面白かったです。用途の違いを想像させてくれます。
   サウロペルタは偵察車、ラコタはまさにトラックですね。

江上:2台のボリュームが違うので、搬入の誘導で、展示の配置を想定から変更しました。位置が決まるまで一苦労でした。リジーナも並んで、1/1ならではのバーチャル感は、プラモデルとは異なる質量の凄みを感じます。

今西:連邦、ジオンと、ついに両者、役者がそろったなぁ、といった感じです。

やはりサウロペルタ、ラコタ、リジーナと1/1サイズが一堂に会するとかなり壮観でした。
来場できなかった方に朗報!1/1ラコタ&サウロペルタ写真集「鋼鉄の軍馬」がホビージャパンより7月刊行予定です。詳しい情報がわかり次第、公式webのニュースに情報を掲載!!
お楽しみに。

そして、ハードグラファー木内が『みんなで語ろう! U.C.HARD GRAPHコア・ファイター − 山根公利さんを囲んで ー』で言っていたコア・ファイターの展示を実現。木内やバンダイ江上氏の他川口名人なども参加して「プラモデルを1/1でつくる会」の向いのブースに15機のコア・ファイターがズラリ。
こちらの感想もU.C.HARD GRAPH関係者に聞いてみた。

山根:皆さん一生懸命作っていただいていてうれしいですね。
やはり塗装はした方がディティールが生きてかっこいいです。
自分はまだ素組までなんですが、ぜひ塗装したいと思いました。

今西:コア・ファイターがずらりと並び、壮大なイメージがわきあがりました!
他のクラブの展示にも、コア・ファイターが散見でき喜ばしい限りです!!

出展メンバーである江上氏からのコメント。

江上:我々は今回初めての合同展出展でした。いかがだったでしょうか。
メンバーには記念すべき第一回の「お題」にコア・ファイターを選んでいただき大感謝です。他のサークルにもカッコいいコア・ファイターの展示があり、すごく刺激になりました。既に販売している事をご存じないお客様も多かったようです。ぜひ本機をキッカケに、塗料や接着剤で醸す模型世界にも時々、踏み込んでみて下さい。

最後にハードグラファー木内氏のコメント。

木内:コア・ファイター祭りはお楽しみいただけましたでしょうか。
15機ものコア・ファイターが並びましたが、どれも個性があり同じ物はありません。同じキットを使用しても個性が出せるのがプラモデルの面白いところだと思います。
コア・ファイターは作りやすく、本当にいいキットです。一度手にとってみてください。
完成させた時の満足度は保証します。最後に、このお祭りにご協力いただいた皆さん本当にありがとうございました。
月刊ホビージャパン8月号(6月25日発売)にも紹介が掲載される予定です。

また、第50回静岡ホビーショーのバンダイブースの U.C.HARD GRAPHのコーナーにはホビージャパンより7月刊行予定の1/1ラコタ&サウロペルタ写真集「鋼鉄の軍馬」の付録として新規開発された1/35ラコタのプラキットがコア・ファイターと一緒に展示されていました。

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