第49回静岡ホビーショー 第21回モデラークラブ合同作品展「1分の1サウロペルタ」展示レポート

2010年5月15日〜16日にツインメッセ静岡で開催される第49回静岡ホビーショー 第21回モデラークラブ合同作品展にU.C.HARD GRAPHの1/1サウロペルタが展示されるとの情報を得て、我々スタッフは早速会場に向かった。
「プラモデルを1/1で造る会」のプロジェクト名「プラモデルを実車化! U.C.HARD GRAPH 1/1サウロペルタ計画」の展示を紹介しよう。

静岡ホビーショーの告知でも<夢をライフワークにしてしまった、永遠の少年達>と書かれていた「プラモデルを1/1で造る会」の大橋 保彦氏と早川 薫氏のお二人に今回のプロジェクトについて聞いてみた。

手前は三菱・アイの模型

——どうして1/1サウロペルタを造ろうと思われたのでしょうか。

大橋:サウロペルタのプラモデルを35倍で測ると、大きさ、ホイールベースとも三菱・アイとほぼぴったりだというアイディアを早川さんから聞きました。
さらに大掛かりな改造をせずにお手軽に?製作可能と教わる。
プラモデルのサウロペルタを眺めると軍用車好きの私にとって、非常に魅力的なデザインをしており、この車を作ってみたいと、乗ってみたい、所有したい、と強く思いました。

早川:出会いは2007年末、親友(AFV好き:2008年末に他界)が、UC.HARD.GRAPHの1/35プラモデルが発売されるよ!と教えてくれました。
未来的ながら、そこはかとなく懐かしさもある、そのフォルムに一目ぼれしました。
「いつか造って乗り回してみたい!」以前造ったクルマ達と同じような想いが沸いてきました。

——実際に造られて一番苦労したところはどこでしょうか。

大橋:好きでやっていることなので苦労と感じたことは一度もありません。
工夫したポイントは大掛かりな車体の改造はせずに、いかにサウロペルタらしいボディーに落とし込むかという点です。
ハンドル、シート位置などアイ純正のままなのでボンネットが短く、居住スペースが広いのですがそこを違和感なく再現できるかもポイントでした。

早川:アイがミッドシップなので、基本フォルムは非常に楽でした。
但しハンドルやシートの関係を変えると自動車を基本から作直しなので、そこは変更せず。このカタチだときっとオフロードを走りたくなると思い、横転時の安全性を考えて、ロールバーを追加しました。
基本デザインを守りつつ、機能を活かしたインパネが一番悩みました。

——展示されたご感想はいかがですか。

大橋:1/1サウロペルタを完成させることにご協力いただいたすべての方に感謝します。
ガレージレベルの製作でここまでこれたのも日ごろから支えてくれている家族の協力、早川さんをはじめ、たくさんの優秀な方々の助けがあったからこそです。
会場では、『ブログ見てるよ。この車が見たくて、来たんだよ』という声を、沢山の方にかけていただき感激しました。
サンライズ様には、サウロペルタの製作許可、ならびに詳細資料等の提供、さらにモデラーの聖地SHSでの展示という最高のチャンスを与えて頂き本当にありがとうございました。

早川:感無量!
ここまでのクォリティに出来たのは、サンライズさんの詳細な資料(ある意味プレッシャーでした(笑)と、大橋さんのバイタリティ、文句を言いながらも協力してくれた家族や知人の有形無形の支え、簡単な構造図面から3Dの部品に仕上げてくれた、多くの協力者の皆さんの、小さな部品まで大いなるこだわりの集大成です。
会場で子供達の笑顔が最高でした。

−−『U.C.HARDGRAPH』の関係者の感想

山根公利氏(U.C.HARD GRAPH サウロペルタデザイナー)
塗装前の写真しか見ていなかったのですが、完成した実物を見てまずその質感の高さに驚かされました。本物の軍用車輛と間違えた方もいらしたそうです。運転席に座ると自分がデザインした手すりの位置がとても使い易くそんな事が実感できるという事に感動を覚えずにはいられませんでした。制作者の皆様に感謝しお礼申し上げます。

江上嘉隆氏(バンダイ・ホビー事業部)
最初にお話を伺った時は、イベント展示品的な「作り物」を想像していました。しかしホビーショーの当日、搬入のトラックから出てきたのは、「軍用車」そのもの。「キャラクター」「ミリタリー」「自動車」を、熟知している方々だからこそ醸し出せるであろう、本物のニオイと存在感に大変感動しました。大好きなメカを作り、それに乗れる。模型趣味の究極を実現できる製作者の皆さんを、本当にうらやましく思います。

今西隆志プロデューサー
静岡ホビーショーの展示おめでとうございます。
本音で申しますと、初めて会場の配置図を見た時は困惑したのです。なんと、ドイツ軍のケッテンクラートの実車展示の横ではありませんか!「こりゃマズイかも……」と、正直、思ったのですが、それは全く要らぬ心配なのでした。
一般客の一部の方から、「どこの国の車ですか?」と質問される程、1/1サウロペルタはリアルな存在だったのです。
あこがれを手にすることができるプラモデル。この魔法を超えてサウロペルタは1/1になりました。もちろん、プラスチックではありませんが、その精神はホビーショーにふさわしく、完全に溶け込んでおりました。

 

作成中の写真もいただいたので、紹介しよう

1. 企画段階に作成した画像

最初の嘆願書に添付した画像
実在のクルマとの比較もしてみました。
SHSで実写できるかも?
正確な図面をいただき、詳細検討したときの画像

 

2. 1/12モデル製作時のスナップ

 

3. 製作時間が間に合わない!と外注(知人)に出すのに利用したスケッチ
無茶なアイデアと短納期に「経験者冷遇だよね」と言われました

ヒンジ リアのパワーパック

 

インパネ(ハンドルなどの動かせない部品も多いので詳細図面作成)

基本構想 イメージスケッチ
図面

 

4. 途中経過で検証した図、フォルムが崩れていないかをこれで確認しながら、
車両にプリントアウトを貼り、完成を想像して奮起し作成しました。

 

また、今回の展示や大橋保彦氏、山根公利氏、今西隆志氏の対談が月刊ホビージャパン8月号(6月25日発売)に掲載されます。
そちらもどうぞお楽しみに。

 

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