ハードグラファーへの道 第2回

文:石井誠

 3月3日、ライター石井とサンライズWEB担当の木内は、ツインメッセ静岡で開催中の『モデラーズフリマ in SHIZUOKA 2007』の会場にいた。

 前回2人で制作したフィギュアに加え、宿題となっていたホバートラックを携えて会場に来た目的は、バンダイが出展しているブースに設けられた『ガンプラアカデミー』の一角にある撮影コーナー。ここはガンプラ初心者にガンプラを提供し、その場で実際に作ってもらい、さらにその完成品をジオラマに飾って撮影してもらうという場所なのだ。

 自分の作ったガンプラをより格好良く見せられるこのコーナーは、子供たちに大盛況。そこに、我々も仲間入りさせてもらって、『U.C. HARDGRAPH』の楽しみのポイントである「ジオラマに飾る」ことを体感しようというのが、今回の企画。情景に自分たちの作ったキットを置き、ドラマを演出することが『U.C. HARDGRAPH』のウリのひとつであるとするなら、その第一歩を気軽に味わうことで、さらにシリーズを楽しめるのではないか? それを実践するために静岡にまでやってきたのだ。
 実際にジオラマに飾る前に、2人がそれぞれ作ったホバートラックのポイントを紹介していこう。
 木内が作ったのは、砂漠仕様を想定したサンドイエローカラーに塗られた車両。本体はエアブラシを使用して塗装し、スミ入れや軽い汚しによって雰囲気を高めている。
 一方、石井が作ったのは設定版に近いカラーリングのもの。ランナー状態にプラカラーのスプレーで塗装し、組み上げるというお手軽仕上げだが、本体にはウォッシングを施し、砂漠地帯での使用によってついた汚れの表現をちょっと派手めに加えた形で制作。
 ちなみに二人とも、キットの制作は、塗装を含めて2〜3日で仕上げているので、決して手の込んだ作業をしていないのが判るだろう。

 作例が出揃ったところで、いよいよセッティング。砂漠を模したディオラマベースの中央に、ホバートラックをそれぞれ配置し、さらにフィギュアも絡める形でディスプレイしていく。つまりは、「置いただけ」の状態での撮影であり、逆にフィギュアを配置しながら、“らしさ”を演出しようというわけだ。
 実は、その“らしさ”が今回の重要なポイントであることに、配置しながら二人は気付いた。
「移動中にホバーが壊れたというシチュエーションをフィギュアの配置でみせよう」
「だったら、ホバーが壊れたことが原因で揉めている様子というのも面白いかも」
 そんな、“シチュエーションを想像”する会話が、ディオラマベースに完成品をセッティングする際に盛り上がっていく。これこそが、ディオラマを制作する楽しみであることに、実際に手を動かしてみることで気付いたのだ。

 セッティングを終えていよいよ撮影。展示用のディオラマベースも簡易的なものであり、実際に飾った作例も手軽に作ったものだったが、アングルを決めて撮影してみると、そこはかとなくドラマを感じさせる画面になっている(ように見える)。ほんのわずかなことだが、ディオラマへのセッティングだけで、模型単体を完成させるのとは、違った充実感を味わうことができた。
 作る楽しみ、そして想像する楽しみ。ちょっとしたことで得られた充実感から、模型の楽しみはステップアップの方向へと考えがシフトしていって当然と言えるだろう。

 

 実は、ディオラマに飾るためだけに静岡までわざわざ来たわけではなかったのだ。実は、当日会場では『U.C.HARDGRAPH』の作例でおなじみの、バンダイホビー事業部の川口克己さん、そしてプロモデラーの山田卓司さんが会場にて模型制作の実演とトークショーを行っていたのだ。もちろん、この機会を逃す手はない。
 二人が静岡まで来たもうひとつの目的、それは川口さんと山田さんからキット制作に対するアドバイスをもらうことだったのだ。

 次回は、いよいよプロモデラーへ作品を見せるぞ!

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