ハードグラファーへの道 第10回

 第8回にて、フィギュアのフル塗装+展示用のミニジオラマを完成させた、石井と木内。着実にステップアップを重ねてきた我々がチャレンジしなければならないのは、やはりジオラマ制作でしょう。

 『U.C.HARDGRAPH』シリーズは、キット単体で組み立てても十分楽しめる内容になっていますが、細かい付属品の充実ぶりや、フィギュアたちから感じられるドラマチックなポージングは、ジオラマ制作をすることでより映えるものとなっています。フォギュアを塗装して完成させられるようになり、ベース作りのノウハウを手にしたなら、やはりキットの素性の良さを生かしてジオラマ制作に手を出してみたくなりました。

 ということで、『ハードグラファーへの道』の新章はジオラマ制作編。その第1回目は、ジオラマのシチュエーションを決めます。
 前回のフィギュア制作編の完成後、石井と木内は次回からジオラマ制作を行うことを決めて、宿題を持ち帰りました。それは、シチュエーション決定のための準備をしておくこと。ただし、お互い何を作るかは、撮影当日まで内緒にして、とにかく準備を進めることにしました。

 そして、撮影当日。互いに準備していた物を見せ合うと……なんと、アイテムが被ってる! ジオラマの主役たるフィギュアは二人とも最新作の『サイクロプス隊セット』をチョイスしていました。企画として、同じ物を使うのはどうかと思いましたが、これも運命。選んだフィギュアは同じとは言え、そのフィギュアを使って想像を膨らませるシチュエーションは違うはずなので、今回は、そうした“発想の違い”を見せることを主眼に据えることに決定! そして案の定、二人が思い描いていたジオラマのコンセプトはまったく違うものでした。

 まず、木内が用意したのは、『サイクロプス隊セット』からシュタイナー、ミーシャ、アンディの3人。メカは、『サイクロプス隊セット』から軽車両のサウロペルタと『ランバ・ラル独立遊撃隊セット』からバイクを持ってくることで、バイクと軽車両で行動を共にしていた3人が、道すがら休憩をしているシチュエーションを再現しようというもの。

 フィギュアを完成させて満足な結果を得られた木内は、このシチュエーション結滞の段階までにフィギュア3体とサウロペルタの塗装をほぼ完成させていたほど。やはり、完成させる満足度は、さらなる制作意欲に繋がるようです。

木内「今回は、前回以上に木や草などの自然物に気を使って制作するつもりです。ちょうどネットでいい素材を見つけたばかりなんで、早く試してみたいですね」

 一方、石井は発売中の『U.C.HARDGRAPH』シリーズからさまざまな小物やパーツを持ち寄って、シリーズ展開のよさを生かした複合的なジオラマにチャレンジしようと思います。

 メインを飾るフィギュアは、木内と同じく『サイクロプス隊セット』から、シュタイナー、アンディ、ガルシア、ミーシャの4人をチョイス。メインメカは『機動偵察隊セット』からワッパを選んで、ワッパの整備シーンにサイクロプス隊の面々と絡めるシチュエーションにしました。
 前回は平面的な雰囲気で完成させたので、今回はちょっと背の高い木を配置することで、違った空間演出を実現させたいとも思っています。
 ヨーロッパでのジオン軍による侵攻が進む中、ワッパを使った特殊作戦の遂行をサイクロプス隊が命令され、その作戦開始を前に4人が話し合っているというシチュエーションを想像してみました。劇中では見ることができなかった、4人が揃った緊張感の中にも信頼感が生み出す楽しげな雰囲気が出せたらと思っています。

 小物は『連邦軍陸戦MS小隊ブリーフィングセット』からテーブルなど流用し、さらに『ランバ・ラル独立遊撃隊セット』からは、木内と同じくオートバイを持ってきました。また、整備中を彩る工具類の小物は、自動車キットなどから流用して賑やかしています。

 そして今回は単にジオラマを作るだけでなく、キットのディテールアップやフィギュアの改造にも挑戦。

 ワッパは、操縦桿とアンテナ部分にパイピングを施してリアル感をアップ。バイクもブレーキワイヤーなどを極細のエナメル線で作り込むことで精密な雰囲気にしています。さらに、アンディは『ランバ・ラル独立遊撃隊セット』のゼイガンの下半身と組み合わせることで、バイクに跨っている姿に。そして、ガルシアはワッパの整備中にひと休み的な感じで、ポーズを変更しています。

 さらに、シュタイナーとミーシャもキットのままではなく、打ち合わせ中の雰囲気を出すために腕などの一部を改造することで、ドラマとしての統一感を出すことを狙ってみました。

 ということで、同じキットを手にしながら二人がまったく違ったシチュエーションを想像していることが判ったと思います。こうした制作前にいろいろと想像を膨らまして、完成形を思い描くことが最も楽しい作業といえるでしょう。ジオラマ制作に向けた準備が完了し、次はいよいよジオラマの制作がスタートします。
 小サイズの飾り台とは違ったジオラマ制作には、果たしてどんな苦難が待ち受けているのか? 次回更新をお楽しみに!

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