設定解説:ジオン公国軍ランバ・ラル独立遊撃隊セット

部隊解説
宇宙世紀0079 10月4日、直接、地球侵攻の作戦指揮を執る地球方面軍司令 ガルマ・ザビ大佐が戦死した。
国民的人気を博していたこのザビ家の末弟の訃報は、豪胆で鳴らす彼の兄、ドズル・ザビ中将・宇宙攻撃軍司令の心さえも揺さぶった。急遽、仇討ち部隊が送り込まれることになるのである。
ドズル・ザビ中将は、数個のゲリラ戦用特殊部隊を直属としていた。仇討ち作戦を下令されたランバ・ラル大尉が率いるランバ・ラル独立遊撃隊もその中のひとつであった。
ガルマ・ザビ大佐の悲報により国民の戦争継続意思を低下させてはならない。仇討ちは速やかに行われるべきものなのである。ランバ・ラル独立遊撃隊は、作戦遂行に必要な装備をかき集め、10月6日、ガルマ・ザビ大佐の国葬の日、機動巡洋艦ザンジバルを駆り地球へと降下して行った。
 この作戦時、ランバ・ラル独立遊撃隊は、特殊部隊らしくコンパクトにまとまっており、機械化歩兵一個中隊にモビルスーツ小隊一個を付随させた程度の規模であった。特筆すべき装備として、YMS-07Bグフや陸戦艇ギャロップなどが挙げられる。
 しかし、ランバ・ラル独立遊撃隊の特徴は、装備ではなく、部隊を構成する隊員そのものにあった。
 隊長のランバ・ラル大尉は、現場戦闘指揮官として極めて優秀であったが、その能力に見合わない立場に甘んじていた。つまり、彼は、軍組織の中で冷や飯を喰わされていたのである。その原因は、彼の過去の政治的立場と無類の酒好きにあるようだ。
 彼は、かつてジオン独立運動に父と共に参加した熱烈なダイクン派であり、結果、ザビ家との政治闘争に敗北した過去を持っているのである。
 そのような指揮官が率いる特殊な部隊である。ランバ・ラルは、大尉という階級以上の自由裁量権を与えられていた。必然的に、部隊を構成する兵員たちにも様々な事情があったようである。(つまり、仇討ち計画の後、仲間を集めたのではないということ。そんな時間はない)しかし、ランバ・ラルは懐の深さをもって彼等を受け入れた。
あくまで戦闘能力優先主義を貫いたのである。このようにして一癖も二癖もある戦闘プロフェッショナル集団、ランバ・ラル独立遊撃隊は誕生したのであった。また、少数ではあるが民間人さえも編入されていた。
 当初、中隊規模の戦力を有したランバ・ラル独立遊撃隊であったが、地球連邦軍のホワイトベース隊との度重なる戦闘を経て、暫時、消耗してゆく。
 ランバ・ラルは、モビルスーツの補充を地球方面軍に要請したが、その要請は聞き届けられることはなかった。その理由として、地球連邦軍のヨーロッパ反攻作戦が目前に迫っていたことが挙げられる。しかし、それは表面上のことであり、根源的問題は、異なる軍組織間の兵站の統合的連携が実現されなかったことにある。
 地球方面軍は、キシリア少将麾下の突撃機動軍で大半が構成されていた。ドズル中将の命を受けたランバ・ラル独立遊撃隊は充分な支援を受けることの出来ないまま戦闘を継続せざるを得なかったのである。
 ランバ・ラル独立遊撃隊は、低下した戦力のすべてをつぎ込む乾坤一擲のホワイトベース強襲作戦を決行した。しかし、この戦いにおいて、ランバ・ラル大尉は戦死し、部隊は事実上壊滅する。その後、残存兵力が捨て身の攻撃を敢行するもやはり敗れ、ここにランバ・ラル独立遊撃隊は完全に消滅した。
討ちもらしたホワイトベース隊の存在は、その後、オデッサの戦いに少なからず影響を与え、決定的局面で勝敗を左右した。ランバ・ラル独立遊撃隊の奮戦次第では、その後の戦局の趨勢も大きく変化していたかもしれない。

機体解説
▽名称
ジオン公国軍 汎用中型オートバイ

B.M.C. Z78/2
(ベンク ズィー ななはち スラッシュ ツー)
BIEAL MOTOR COMPANY Z78/2

▽諸元
全長:1800mm
全高:800mm
乾燥重量:120kg
最大出力:50馬力
始動形式:キック式
ブレーキ形式:マキシム式ドラムブレーキ
変速機形式:前5段、後2段

▽解説
 本車輌は地球戦域でジオン公国軍が偵察などに用いたことで知られるバイクである。
 開発メーカーのB.M.C.(通称ベンク)はもともと自動車製造で名をなした会社であり、それゆえチェーン式よりもシャフトドライブに慣れ親しんでいた。また、技術的にも高いレベルのものを有していたので、会社初のバイクを開発する際、最も信頼の置けるシャフトドライブ方式を選んだのだという。さらに後輪の横幅を広げたためトラクションが上昇、それに伴い不整地走破性が大きく向上した。とは言うものの、別段、同種のものに比べて取り立てて優れているというわけでもなかった。
 だが競合他社のバイクが制式採用の内示を受けているにもかかわらず、たとえ少数であってもZ78/2の購入が行われたのは、決してその性能が評価されたからなのではなく、当時から噂されていた軍内部の政治的理由に他ならない。これといった特徴のないZ78/2はその必要性さえ疑問視され、一時はキャンセルリストの筆頭にさえ挙げられたという事実がこの噂を信憑性の高いものにしている。
 しかし実際に運用してみると思いのほか使い勝手が良いことが判明、長距離偵察や伝令任務のみならず、空挺作戦にも投入される程度の評価を得ることには成功した。
 ちなみにサイドバックと取り付け用ステーおよびライトリムには、生産された時期や配備先によって異なるバリエーションが存在する。

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