設定解説:ジオン公国軍 サイクロプス隊セット

 ジオン公国突撃機動軍は、いくつかの特殊工作部隊を有していた。それらの部隊の呼称には、通常、コードネームが使用されていた。
“CYCLOPS” これが、「サイクロプス隊」と通称される部隊のコードネームである。彼らの特殊任務は、敵の後方撹乱から要人の拉致にまで及んだ。
 そも、これらの特殊工作部隊は、特定作戦時に暫定的に編成される場合と、常時、出動が可能なように常備される部隊に大別される。サイクロプス隊は後者にあたり、部隊章の存在まで確認されている。
 部隊指揮官は、ハーディ・シュタイナー大尉。副官は配置されなかったようだが、事実上、生え抜きのミハイル・カミンスキー少尉がその任を果たしていたようである。彼らは、あらゆる状況に対応可能な技術を身に付けており、それは、MSの操縦技能から諜報活動能力にまで及んだ。
 サイクロプス隊は、12人程度の小規模編成の部隊であったとされるが、部隊の性格上、定数規定は無い。

 U.C.0079、3月1日、ジオン軍による地球侵攻作戦が開始された。
サイクロプス隊も、根拠地・グラナダから第1地上機動師団と共に出撃し、第1次降下作戦に参加、ヨーロッパの大地に舞い降りた。この時から彼らは、一年戦争を駆け抜けることとなる。サイクロプス隊は、ジオン軍の地球制圧作戦の尖兵となったのである。地球連邦軍の混乱に乗じ、敵の通信遮断、橋梁の占拠と、彼らの活躍には枚挙の暇がなかった。
 彼らの作戦行動は、開戦当初、おしなべて順調に進んだ。しかし、その任務の過酷さ故に、目標達成は完璧な場合ばかりではなかった。また、激しい部隊の損耗の中、シュタイナー大尉は逞しく、そして、したたかに生き抜く。
 そこには、彼の冷静沈着な状況判断があった。しかし、その冷ややかなまでの客観的洞察力は、時として、軍の強行な戦争行為への批判と受け取られることもあった。彼らの茨の道は、特殊工作部隊なるがゆえか、ジオン軍の潔癖主義への代償だったのか。
ジオン軍緒戦の快進撃の栄光の陰に、サイクロプス隊をはじめとする特殊部隊の犠牲があったことは確かである。

戦況は悪化の一路を辿り、終戦間際、サイクロプス隊は「ルビコン作戦」に参加した。これは、ニュータイプ用ガンダム RX−78NT−1 の奪取を目途とした。そして、これが彼らの最後の作戦となるのである。既に、サイクロプス隊は疲弊の極みに達しており往時の面影はなかった。部隊は、僅か4名に減少していたのだった。彼らは、あわや新型ガンダムを破壊寸前まで追いつめたが、奮戦虚しく、部隊は壊滅した。U.C.0079 12月19日のことと記録されている。
彼らは、特殊工作部隊の宿命を一身に背負い、友軍から讃えられることもなく闇に葬られたのである。

※ このU.C.HARD GRAPH の設定世界では、講談社 「機動戦士ガンダム 公式百科事典」などの記述と一部、異なる部分があります。御注意ください。

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